新たな「青森県エネルギー産業振興戦略」の概要

概要(平成28年3月)

青森県では、平成18年11月、全国に先駆けて「青森県エネルギー産業振興戦略」を策定し、豊富なエネルギーポテンシャルを地域の産業振興につなげていくための様々な施策を推進してきましたが、東日本大震災以降のエネルギーを取り巻く環境変化や、国のエネルギー政策、本県におけるエネルギー産業の現状と課題を踏まえ、このたび、新たな「青森県エネルギー産業振興戦略」を策定しました。
新たな戦略では、東京大学が提唱する 将来ビジョン「トリプル50(フィフティ)」 の考え方に沿って、本県のエネルギー構造の将来ビジョン(2030年度に目ざすべき消費構造)を定めた上で、新たな視点からエネルギー産業の振興方向と、重点的に取り組むべきプロジェクトを示しています。

 

「青森県エネルギー産業振興戦略」概要版リーフレット

 

「青森県エネルギー産業振興戦略」(平成28年3月発行)冊子ダウンロード

 

 

 

新「青森県エネルギー産業振興戦略」の概要

 

第1章 新たな戦略策定の目的

ž東日本大震災以降のエネルギーを取り巻く環境変化等を踏まえ、本県のエネルギー産業振興の現状と課題を検証し、新たな視点からエネルギー産業の振興方向と、重点的に取り組むべきプロジェクトを提示することを目的に策定しました。

 

第2章 エネルギーを巡る状況

ž世界のエネルギー戦略は、基本的に化石燃料依存度の低減を図り、再生可能エネルギーや原子力発電の導入等を進めることですが、我が国のエネルギー政策は、「基本的視点(3E+S)」と「国際的な視点」、「経済成長の視点」を重視した、柔軟かつ効率的なエネルギー需給構造の構築に向け、徹底した省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの最大限の導入、原発依存度を可能な限り低減することが基本方針となっています。

 

第3章 青森県のエネルギー産業の状況

本県のエネルギー消費構造は、冬季間の暖房用やガソリン等の使用が多いこと等により、全国と比較すると、依然として化石燃料の割合が高い状況にあります。
再生可能エネルギー発電施設の設備容量は、平成26年度末で305.7万kW、稼働済が50.6万kW(認定量の16.6%)ですが、うち県内事業者によるものはメガソーラーで約1.3万kW(全体の約25%)、風力発電で約1.8万kW(全体の約5%)となっています。
また、風力発電の設備容量は、平成20年度から7年連続第1位となっています。

 

第4章 エネルギー産業振興の基本方針

(1)2030年のエネルギー消費構造
前戦略に引き続き、「トリプル50(フィフティ)」という将来ビジョンを掲げ、トリプル50を「消費ベース」に換算した「化石燃料43%」「電力31%」「熱利用・再エネ等26%」を本県が2030年度に目ざすべき消費構造としています。
 
トリプル50(2030年度時点で目指すべきエネルギービジョン)
エネルギー自給率 50%
エネルギー利用効率 50%
化石燃料依存率 50%
 
供給ベース

トリプル50に対応した

一時供給エネルギー

化石燃料

(石炭、石油、ガス)

50%

原子力+再生可能エネルギー

50%

 

2030年度に目指すべき消費構造

化石燃料

(灯油、重油、軽油、ガソリン等)

43%

電力

(省エネ電力を除く)

31%
熱利用・再エネ等 26%
 
 
(2)省エネルギーの推進
本県が目ざすエネルギー消費構造を実現するためには、徹底した省エネルギーの推進により、大幅なエネルギー効率の改善が必要です。
 

 

 

青森県のエネルギー消費構造の推移及び将来見込
 
(3)再生可能エネルギーの導入
FIT設備認定量や事業計画等を踏まえ、本県における2030年度の再生可能エネルギー発電の導入量見込を69.4億kWh、2014年度比では約5倍と試算しました(国の長期エネルギー需給見通しにおける導入量見込は2013年度比約2倍)。
 

 

 

再生可能エネルギー発電の2030年度の導入量試算

 

 

(4)エネルギー産業振興の基本的な考え方
「売電」のみならず、再生可能エネルギーや熱エネルギーを効果的に活用し、「エネルギーの地産地消」「自立分散型エネルギーシステム」を普及拡大させることによって、「人材」「資金」等が地域の中で循環し、地域の産業振興や雇用創出の原動力となる地域社会を目ざします。
また、トリプル50に基づくエネルギー消費構造に向けた取組を進めることにより、国のエネルギー政策に貢献するとともに、資源とエネルギーが効率的に循環する持続型、低炭素型の地域社会を目ざします。
 
(5)エネルギー産業振興の基本的な取組
本県の強み、地域資源をとことん活かす
  • エネルギー関連産業への地元企業の参入を進める
  • 農林水産業の活性化や地域産業の雇用拡大につなげる
  • 積雪寒冷地にふさわしいエネルギーマネジメントを普及させる
  • 自立分散型のスマートコミュニティを築く

 

第5章 分野別戦略プロジェクト

11の主要なエネルギー分野ごとに、今後の事業展開の方向、具体的なプロジェクト等を示すとともに、可能な限り、事業規模や雇用創出効果等を試算しました。

 

事業効果(全体)
事業費 計 約8,000億円
1 太陽光 約3,700億円
2 風力 約3,200億円
3 バイオマス 約540億円
4 地熱・地中熱 約480億円
5 小水力 約40億円

 

雇用創出効果 計 約1万人
1 太陽光 約300人
2 風力 約400人
3 バイオマス 約1,800人
4 地熱・地中熱 約2,800人
5 小水力 約200人
6 海洋エネルギー 約1,800人
9 水素 約2,000人
10 スマートコミュニティ 約400人
 

 

分野別戦略プロジェクト

 

1 太陽光
  • 積雪寒冷地に適した住宅用太陽光発電設備導入促進プロジェクト
  • 太陽光発電O&Mビジネス参入促進プロジェクト
2 風力
  • 風力メンテナンス人材育成プロジェクト
3 バイオマス
  • 大規模集中型木質バイオマス拠点プロジェクト
  • 小規模分散型地域熱供給プロジェクト
4 地熱・地中熱
  • 地熱・温泉熱カスケード利用実証プロジェクト
5 小水力
  • 小水力農業活性化・観光地再生プロジェクト
6 海洋エネルギー
  • 津軽半島潮流発電実証プロジェクト
7 熱利用
  • ガスコージェネレーション普及促進プロジェクト
8 次世代自動車
  • スマートハウスを実現するV2H普及プロジェクト
  • インフラ産業振興プロジェクト 等
9 水素
  • むつ小川原開発地区CO2フリー水素製造関連事業プロジェクト
10 スマートコミュニティ
  • あおもり型スマートコミュニティモデルプロジェクト
11 人材育成・研究開発
  • 原子力人材育成、研究開発推進プロジェクト等

 

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